筋力をつけるには自分の最大筋力を推定
筋力をつけるとは、いわゆる「筋肉をつける」だけではなく、今ある筋肉での発揮できる筋力を高める、筋肉の持久力を高めるの3通りあり、筋トレでの負荷の大きさによって、効果が変わってきます。
「筋力をつける」は3通り
筋力をつけるとは
どのようなスポーツでも筋力をつけることが重要ですが、筋力をつけるとは、いわゆる「筋肉をつける」だけではなく、下記の3つがあります。
筋肉を太くして筋力を高める(筋肥大させる)
今ある筋肉で発揮できる筋力を高める(筋動員力を高める)
筋肉の持久力を高める(筋持久力を高める)
目的別のトレーニング方法
目的により、負荷率、反復回数、セット数、セット間の休憩時間など、トレーニングの方法が違います。
負荷率を設定してトレーニングを行うことで、効率よく筋力をつけることができます。
負荷率とは
負荷率とは、自分が出せる最大筋力に対する割合で、筋肉をつける(筋肥大させる)には、最大筋力の70〜80%でトレーニングすることが最も効果的です。
効率よく筋力をつけるには、自分の最大筋力がどれくらいか知る必要があります。
筋肉は2種類ある
速筋
最大筋力や瞬発力を出す筋肉です。
トレーニングすることで、筋繊維が太くなり(筋肥大)、太くなるほど最大筋力がアップします。
断面積1cu当たり6〜10kgの力を出せます。
遅筋
持久力にすぐれている筋肉です。
トレーニングすることで、筋肉内の毛細血管の数や、栄養素を運ぶ細胞内のミトコンドリアが増加します。
その結果、血流量が増し、酸素を多く供給できるようになり、持久力が増します。
筋力を出すエネルギーは3種類
1.無酸素系・ATP−CP系(アデノシン3リン酸−クレアチンリン酸系)
- 筋肉中のATP(アデノシン3リン酸)などのリン酸化合物が分解する過程でエネルギーを出す。
- 短時間の激しい運動・短距離走などで重要。
- 最大筋力を出せるが、筋肉中には約8秒持続できる程度しか含まれない。
- さらに筋肉を動かすには、筋肉中のグリコーゲンからATPをつくることになる。
2.無酸素系・乳酸系
- 筋肉中のグリコーゲンが無酸素的に分解してATPをつくり、エネルギーを出す。
- 負荷の大きな運動中は、血流が阻害されているため、無酸素的になる。
- 無酸素的な代謝ではグリコーゲンが不完全燃焼するため、疲労物質の乳酸が生成されます。
- 最大筋力の60%程度を出せるが、持続時間は約33秒間で、乳酸がたまりそれ以上のエネルギーが作れなくなる。
- 短距離走・中距離走などで重要
この無酸素系2種類を合わせて、約40秒間の最大パワーを発揮できます。
陸上競技の400m走が、「究極の無酸素運動」「無酸素運動の限界」と言われるのは、この無酸素系エネルギーを使い切ってしまうからです。
一流選手の400mのタイムは約40秒なので、ゴールすると倒れこんで、立てなくなってしまう光景が見られます。
3.有酸素系
- 筋肉中のグリコーゲンが有酸素的に分解してATPをつくり、エネルギーを出す。
- 呼吸による酸素により、乳酸を発生せずに運動を持続できる。
- 筋肉中のグリコーゲンや血液中のブドウ糖、脂肪酸などを原料に、ミトコンドリアでエネルギーが作られる。
- 最大筋力の25%程度の出力しかないが、持続時間は約2時間である。
- 中距離走・長距離走などで重要
各種目での最大筋力を推定
効率よく筋力をつけるには、自分の最大筋力を推定し、これを元に負荷を設定する必要があります。
筋トレで最も重要なのは、負荷率(どれくらいの重さのダンベル・バーベルを使うか)で、各種目ごとに最大筋力から算出する必要があります。
最大筋力はどれくらいか?
各種目での反復回数から、最大筋力に対する負荷率が分かります。
反復回数 | 負荷率 |
1回 | 100% |
4回 | 90% |
8回 | 80% |
12回 | 70% |
20回 | 60% |
30回 | 50% |
【例】ダンベルカールでの最大筋力を推定するには、5回くらい反復できると思う負荷を選び、できなくなるまで反復します。
10kgのダンベルで8回反復できた場合、上の表より負荷率は80%となり、この種目での最大筋力は12.5kgと推定できます。
負荷の感じ方
トレーニング中に感じる「重い」、「軽い」などの強度から、だいたいの負荷率を推定できます。
感じ方 | 負荷率 |
かなり軽い | 50% |
軽い | 60% |
やや重い | 70% |
重い | 80% |
かなり重い | 90% |
非常に重い | 100% |
トレーニング例
筋肥大させるのが目的なら、負荷率を70〜80%に設定します。
上記のように、ダンベルカールでの最大筋力が12.5kgなら、8.75kg〜10kgのダンベルを使用すると効果が高くなります。
筋持久力をつけたいなら、負荷率が30〜50%なので、3.75kg〜5kgのダンベルが効果的ということになります。
フォームの安定が重要
フォームが安定しないと筋肉がつきにくい
効率よく筋肉をつけるには、その種目での最大筋力を知る必要がありますが、間違って推定していることが多々あります。
筋トレに慣れていない初級者の時期は、フォームが安定せず、筋肉の使い方もよくないものです。
この状態では、正確に最大筋力を測定することは難しいです。
最大筋力は誤認しやすい
筋トレに慣れていない時期に、最大筋力を測定して、20kgだったとします。
しかし、筋肉の使い方が悪く、実際には30kgだったなど、誤認することがよくあります。
最大筋力を20kgと思い込んでトレーニングしていくと、短期間で25kg、30kgと上がっていくことが起こります。
これは、筋力がついたのではなく、フォームが安定して、筋力を発揮できるようになっただけです。
最大筋力の測定
筋トレを1ヶ月ほど継続すると、フォームが安定してくるので、この時期に最大筋力を測定するとよいです。
筋力を発揮するには、集中力が大きく影響するので、最大筋力を測定するには、トレーニングに集中できる環境も必要です。
マシーンとフリーウエイト
負荷をかけるにはマシーンとダンベルなどのフリーウエイトがあります。
マシーンは初心者でも簡単に行うことができますが、下ろす時に摩擦で負荷が弱くなったり、広いスペースをとったりします。
ダンベルやバーベルのフリーウエイトは、いろいろなトレーニングができますが、注意しないとケガをしたりします。
他に負荷をかける方法として、腕立て伏せやスクワットなどの自重負荷やチューブやゴムバンドなどがあります。
どれも長所と短所があるので、使い分ける必要があります。
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