パワー・瞬発力をつけるトレーニング
筋トレで筋肉を太くしただけでは、スポーツで必要な実践的な筋力であるパワー(瞬発力)は養われません。
実践で力を発揮できる筋肉にするには、鍛えた筋肉にパワーをつけるようなトレーニングが必要です。
パワーとは「筋力×スピード」
パワー(瞬発力)とは
このスポーツ選手は「パワーがある」などと言いますが、パワーとは単に体が大きくて力が強いことではありません。
パワーは「筋力×スピード」で表され、筋肉がそれほどなくても、スピードで補えることになります。
筋肉をつけても、スピードのトレーニングをしなければ、パワーはつきません。
元横綱の日馬富士さん
元横綱の日馬富士さんは、力士の中では体は細いですが、スピードはズバ抜けていました。
筋肉量が少なくても、立ち合いで大きな力士を圧倒できるのは、スピードによるパワーがあったからです。
パワーが必要なスポーツ
どんなスポーツでも、パワーは必要ですが、陸上競技の跳躍(走り幅跳び、走り高跳び)や投てき(やり投げ、砲丸投げ、ハンマー投げ、円盤投げ)、重量挙げ(ウェイトリフティング)などでは、特に重要です。
これらの一発勝負の競技は、パワーに左右されます。
下記のように、パワーを養うには、重量挙げのトレーニングもあります。
筋肉が大きくなってもパワーはつかない
体を大きくしたり、ボディメイクが目的の筋トレでは、パワーはつきません。
スポーツだけでなく、日常生活でもパワーを使うことはあります。
せっかく体が大きくなっても、「あいつは、マッチョなのに見掛け倒しだ」などと言われることも…。
筋肉を大きくするトレーニングに慣れてきたら、パワートレーニングを取り入れるのもよいです。
パワー・瞬発力をつけるには
できるだけ速く動作させる
トレーニングの動作(スピード)を速くすると、パワー(瞬発力)が強化されます。
ダンベルやバーベルを、できるだけ速く持ち上げるようにすることで、より実践的なトレーニングになります。
逆に下ろすときは、ゆっくり動作させて筋肉に刺激を与え、筋肥大を促すようにします。
トレーニング方法
筋力×スピードで表されるパワーは、最大筋力の30〜40%くらいで最も大きくなります。
これくらいの軽い負荷をかけて、最大の速度でトレーニングをすることでパワーが養われます。
逆に、筋肉を太くするような最大筋力の70%くらいの負荷では、重すぎてスピードが出ません。
パワートレーニングでは、筋肉を太くする効果は小さいです。
トレーニング方法
セット | 負荷 | 反復回数 |
1 | 30% | 最大スピードでできなくなるまで |
2 | 40% | 〃 |
3 | 50% | 〃 |
最大スピードが維持できなくなる(スピードが落ちてくる)まで、反復します。
素早く切り返す
ベンチプレスなどで、バーベルを下ろすと同時に、素早く上げる動作に移行することでも効果が高まります。
バーベルを下ろして、止めてから上げる場合に比べて、バーベルを下ろしているときの加速度も負荷に加わります。
これも軽い負荷で行うトレーニングです。
効果的なパワートレーニング
パワートレーニングばかりを行っても、筋肉はつかないので、パワーもそれほど養われません。
筋肉を大きくすることで、最大筋力の30〜40%の範囲を広げることができます。
筋肉を大きくするトレーニングに慣れてきたら、パワートレーニングを取り入れるとよいです。
全身のパワートレーニング
一般的な筋トレに比べて衝撃が大きくケガをする恐れがあるので、ダンベルを使う際はごく軽い負荷で行います。
パワープッシュアップ
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@腕立て伏せで肘を曲げていき、胸を床に近づけます。
A腕でジャンプして、一気に上半身を飛び上がらせ、着地します。
着地と同時に素早くジャンプの動作に移ると効果が高まります。
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ジャンピング・スプリット
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@両手にダンベルを持って立ち、片脚を大きく前に踏み出します。
Aジャンプして左右の足を入れ替え、これを繰り返します。
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プッシュプレス
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@膝と腰を軽く曲げて立ち、ショルダープレスの体勢をとります。
A膝と腰を伸ばしながら、その反動を利用して、一気に頭上にダンベルを上げます。
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スナッチ
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@両手にダンベルを持って、スクワットをするようにしゃがみます。
A膝を伸ばして立ち上がります。
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B立ち上がった反動を利用してアップライトロウの姿勢に入ります。
Cアップライトロウの勢いをつけたまま、一気に頭上にダンベルを上げ、衝撃を受け止めてバランスをとります。
重量挙げのスナッチとは動作が少し違います。
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パリ五輪 ウエイトリフティング 日本代表選手 🎌
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男子 | 73キロ級 | 宮本昌典 |
102キロ超級 | 村上英士朗
| 女子 | 49キロ級 | 鈴木梨羅 |
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