大胸筋を強化する8種目(胸板・投球・打撃・走力など)
大胸筋は厚い胸板をつくり、ボールを投げる、バットやラケットを振る、走る際の腕振りなど、スポーツでの基礎的な筋肉です。
側胸部の前鋸筋は、腕を前に出すときに使われ、格闘技で強いパンチを出すなどで重要です。
胸の筋肉の鍛え方
プッシュアップとベンチプレス
大胸筋を鍛える基本種目は、プッシュアップやベンチプレスです。
筋トレを始められた方は、プッシュアップで基礎的な筋力をつけ、できるようになったらベンチプレスへ移行します。
胸板を厚くするには、ベンチプレスなど、ダンベルやバーベルで負荷をかけることが絶対条件です。
ベンチプレスの手幅
バーベルやダンベルを持つ手幅は、肩幅の1.6倍が最も上げやすく、大胸筋に70%、上腕三頭筋と三角筋に30%の負荷がかかります。
これよりも広くすると、大胸筋が使わる割合がさらに高くなりますが、手首を傷める恐れがあります。
反対に手幅を肩幅に近づけるほど、上腕三頭筋や三角筋が使わる割合が高くなります。
ダンベルとバーベル
ベンチプレスは、ダンベルよりバーベルで行う方が簡単です。
バーベルを持つ両手の幅は一定ですが、ダンベルの場合は両手の幅や軌道を安定させる筋肉も使います。
また、バーベルよりも低く下ろせることで、可動範囲が広くなり、負荷も大きくなります。
70kgのダンベルプレスは、100kgのバーベルプレスに相当するとも言われます。
バーベルの方が易しいのですが、器具が必要で大がかりになってしまう欠点があります。
息を止めると血圧が上がる
息を止めると、血圧が急上昇して、心臓にも大きな負担がかかります。
筋トレでは、負荷が大きくなるほど、息を止めてしまいがちです。
限界に近づくほど、その傾向が強くなるので、吐きながら行うことを意識することが大切です。
大胸筋を強化する種目(基本)
プッシュアップ 鍛えられる筋肉:大胸筋、上腕三頭筋
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@図1.両手の間隔を肩幅より広くして、両手を床に付き脚を後ろへ伸ばします。ひじを体の外側に向けて曲げていき、上体を下ろします。
A図2.息を吐きながら腕を伸ばして上体を持ち上げます。
両手の幅を広くするほど大胸筋が使われ、肩幅に近づけるほど上腕三頭筋が使われます。
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デクライン・プッシュアップ 鍛えられる筋肉:大胸筋、上腕三頭筋
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@図1.脚を台の上に載せて行う腕立て伏せです。両手の間隔を肩幅より広くして、ひじを曲げ上体を下ろします。
A図2.息を吐きながら腕を伸ばして上体を上げます。
普通のプッシュアップに慣れたら運動強度が高いデクラインで行います。
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ダンベルプレス 鍛えられる筋肉:大胸筋、上腕三頭筋
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@図1.ベンチに仰向けになり、両手にダンベルを持ちます。両ひじを体の外側に向けて胸を広げます。
A図2.両手をゆっくりとまっすぐ引き上げ、ゆっくり下ろします。
両手の幅を広くするほど大胸筋が使われ、狭くするほど上腕三頭筋が使われます。
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フロアプレス 鍛えられる筋肉:大胸筋、上腕三頭筋
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@図1.床に仰向けになり、両手にダンベルを持ちます。両ひじを体の外側に向けて胸を広げます。
A図2.両手をゆっくりとまっすぐ引き上げ、ゆっくり下ろします。
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大胸筋を強化する種目(応用)
ダンベル・フライ 鍛えられる筋肉:大胸筋、上腕二頭筋
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@図1.ベンチに仰向けになり、手のひらを内側に向けて両手にダンベルを持ちます。胸の上までダンベルを上げ、ひじは軽く曲げておきます。
A図2.大胸筋に意識を集中しながら、両腕を広げていき、ゆっくり戻します。
ダンベルプレスと比べて、大胸筋の内側が鍛えられます。ダンベルプレスよりも大胸筋への負荷が大きくなるので、軽めのダンベルを使います。
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インクライン・ダンベルプレス 鍛えられる筋肉:大胸筋、上腕三頭筋、前鋸筋
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@図1.背もたれが斜めのイスに座り、両手にダンベルを持って、肘を曲げ肩のあたりにセットします。
A図2.息を吐きながら、ダンベルを真上に持ち上げ、ゆっくりもとに戻します。
インクラインベンチを使うと、大胸筋の上部が鍛えられます。
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アームプルオーバー 鍛えられる筋肉:大胸筋、前鋸筋、広背筋
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@図1.仰向けになって両手でダンベルを持ち、胸の上に位置させます。
A図2.ゆっくりと背伸びをするようにダンベルを頭の下まで下ろし、ゆっくり戻します。
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ディッピング 鍛えられる筋肉:大胸筋、前鋸筋、三角筋
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@図1.肩幅より広めの2本のバーの上で、ひじを伸ばして体を浮かせます。
A図2.ゆっくりと息を吸いながら体を下ろしていき、息を吐きながら元の姿勢まで体を持ち上げます。
上腕部と床が平行になるくらいまでひじを曲げます。ひじが外側に開かないように注意します。
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筋トレの効果を上げるには
大胸筋の上下と内外
ベンチプレスだけでも大胸筋を全体的に鍛えられますが、主に大胸筋の中部から下部が使われています。
大胸筋の上部を重点的に強化したいなら、インクラインプレスが効果的です。
また、ベンチプレスの手幅を狭く持つと内側、広く持つと外側が使われ、バタフライでは大胸筋の内側が使われやすいです。
ダンベルプレスとダンベルフライ
ダンベルプレスで腕が疲れると、大胸筋が元気でも上げることができなくなります。
このような場合は、ダンベルフライで大胸筋だけを鍛えることができます。
ダンベルフライは、ダンベルを支えるための上腕二頭筋も使われるが、ほとんどは大胸筋が使われます。
前鋸筋
格闘技でのストレートパンチや砲丸投げなど、腕を素早く前に出す動作では前鋸筋が物を言います。
前鋸筋は、側胸部の肋骨から肩甲骨へかけてのインナーマッスルで、脇下辺りだけが表層にあります。
ベンチプレスでも前鋸筋は使われますが、部分的に鍛えたいならインクラインプレスやアームプルオーバーが効果的です。
胸のトレーニングは最初に行う
ダンベルレスの前にダンベルカールなどを行うと、腕が疲れてベンチプレスがよい状態で行えないので、腕の筋トレよりも先に大胸筋の筋トレを行います。
脚のトレーニングは別の日に行う
大胸筋や脚(大腿)の筋肉は大きくエネルギーを多く使うので、筋トレの始めに行うのが基本です。
スクワットの後のベンチプレス、またはその逆も、精神的にも疲れてよい状態で行えないので、別の日に分けて行うとよいでしょう。
広背筋も同時に鍛える
上腕二頭筋と上腕三頭筋、大腿四頭筋とハムストリングスのように、大胸筋と広背筋は拮抗筋です。大胸筋は腕で前へ押す筋肉、広背筋は腕を後ろへ引く筋肉です。
この2つの筋肉のバランスが崩れないように、大胸筋だけでなく同時に広背筋も鍛えることが大切です。
ベンチプレスをしても大胸筋がつかない場合
自分では大胸筋を使っているつもりでも、腕や肩の力で上げてしまっていることが考えられます。
このような場合は、バーベルを持つ手の間隔を広げて上腕三頭筋が使われる割合を下げれば、大胸筋が使われるようになります。
各スポーツでのトレーニング効果
テニス
サービスをスピードアップするには、ひじを高く上げて腕を前に振り出すことが必要です。
そのためには肩と胸の筋力と連動性が重要なので、アームプルオーバーやダンベルフライを取り入れるとよいです。
大胸筋が強化されるとレシーブの安定にもつながります。
陸上競技
短距離のスピードアップには、ベンチプレスで胸板をが厚くするようなトレーニングが必要です。
腕振りが速くなると脚の回転も速くなり、上体のブレが少なくなるとスピードのロスがなくなります。
中・長距離でもリズミカルな腕振りには大胸筋ですが、重いウェイトではなく、軽いウェイトでの筋持久力を高めるトレーニングを行うとよいでしょう。
自転車競技
スプリントや坂道でのスピードを上げるには、脚力だけでなく上半身の筋力も重要です。
爆発的に馬力を上げるには、ハンドルを胸に引きつけるような腕や胸の筋力が必要です。
また、腹筋や背筋の体幹を強化することで上体のブレを抑えることができます。
ボディビルダーのトレーニング例
胸板を厚くしたいのが目的なら、下記のトレーニングを週2回行います。
10回くらい反復できる負荷のダンベル・バーベルを用いて行います。
【例】4種目を各10回×5セットずつ行います。
@ベンチプレス
Aダンベルフライ
Bインクラインダンベルプレス
Cインクラインダンベルフライ
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