ウォーキングの基礎知識(フォーム・呼吸法・運動効果)
ウォーキングには、足腰の強化、骨の強化、血行促進、心肺機能の向上、生活習慣病の改善などの効果があります。
歩数と病気には関係が深く、健康で長生きするには、1日8000歩(その内、速歩き20分)がよいと言われます。
現代人の平均歩数
1日1万歩が理想
現代人は、車に乗ることが多くなり、普段の生活ではあまり歩かなくなっています。
ウォーキングで、体脂肪を燃焼させたり、生活習慣病の予防・改善をするには、1日1万歩が理想です。
1万歩で約300kcal、脂肪に換算して33gを消費できます。
1日の平均歩数
下表は、年齢別の1日の平均歩数で、8千歩以上歩いている人は全体の33%、1万歩以上歩いている人は17%にすぎません。
年齢 | 1日の平均歩数(男) | 1日の平均歩数(女) |
20代 | 8500 | 7500 |
30代 | 8200 | 7200 |
40代 | 7800 | 7100 |
50代 | 7800 | 7000 |
60代 | 6800 | 6200 |
まずは平均歩数を目標に
理想は1日1万歩ですが、普通に歩くと2時間くらいかかるので、毎日続けるのはたいへんです。
簡単に考えると、平均歩数を歩いている人は、標準体重でしょうから、痩せたいとか生活習慣病の予防には、まずは平均歩数を歩くことを目標に始めるとよいでしょう。
また、歳をとるにつれて、摂取エネルギーも減っていくので、高齢者は5000〜6000歩を目標にするとよいでしょう。
無理をせずに、自分の体の状態や体力に応じて、ウォーキングを行うことが大切です。
ウォーキングのフォームと呼吸法
ウォーキングのフォーム
背筋を伸ばしてあごを引く
胸を張る
肩の力を抜く
腕を大きく振る
お腹を前に出さない
お尻を後ろに出さない
膝を伸ばして歩幅を広く
かかとから着地する
目線は10mくらい前方に
フォームを気にせず歩く
どのようなウォーキングの本やホームページでも、フォームが重要と書いてあります。
このようにしないと効果がないように書かれていますが、こんなことを気にしていては、やる気もなくなりますし、長続きもしません。
まずは、自分の好きなように歩いてみて、歩くことに慣れてから考えるとよいです。
ウォーキングを続けていれば、自然に歩くペースも速くなり、フォームもよくなってくるものです。
ウォーキングの呼吸法
呼吸の仕方も、「腹式呼吸で」などと書かれていますが、一概に腹式呼吸といってもよく分かりません。
ウォーキングでいう腹式呼吸とは、腹筋を使って息を吐くことで、お腹に空気を入れて呼吸することではありません。
(寝ているときは、胸でなくお腹が膨らむ呼吸で、副交感神経が働いてリラックスしています。
歩いているときには、このような呼吸にはなりません。)
慣れてきたら腹筋を使う
息を強く吐くと、腹筋が使われているのが分かります。
これが腹筋(お腹の深部の筋肉)を使って呼吸するということです。
吐き切るまではしませんが、ウォーキングではこの感覚で呼吸することで効果が上がります。
歩くことに慣れてきたら、お腹を意識して呼吸するようにするとよいです。
お腹の深部の筋肉
上記のお腹の深部の筋肉とは、骨盤周りのインナーマッスルのことで、流行のピラティスやヨーガで重要な筋肉群です。
この筋肉群が鍛えられると、骨盤のゆがみが矯正されて、姿勢がよくなり、お腹も引き締まります。
やってはいけない歩き方
カバンとショルダーバッグ
片手にカバンを持ったり、ショルダーバッグを片方の肩にかけて歩くと、体の左右にかかる荷重のバランスが悪くなります。
重いものを肩にかけて歩くと、背骨や腰などを痛める原因になります。
軽いものでも、長時間続けると良くないので、一定時間ごとに左右かけかえる必要があります。
リュックサックなら、左右均等に荷重がかかるのでバランスがよく、腕振りも自由です。
外股歩きと内股歩き
外股歩きは、つま先が外を向き、足首が外にねじれて、かかとが内側に傾きます。
内股歩きは、つま先が内を向き、足首が内にねじれて、かかとが外側に傾きます。
このような歩き方をしていると、膝や足首に負担がかかり、怪我をしやすくなります。
靴底の減り
靴底の減り方で、外股歩きや内股歩きになっているか確認できます。
外股歩きは、かかと部分の内側、内股歩きは、かかと部分の外側の減りが早くなります。
ハイヒールで歩く
ハイヒールは常にかかとが上がり、ふくらはぎやアキレス腱が収縮し、すねや足の甲が伸びた状態です。
これにより、アキレス腱への負担が大きくなったり、骨盤が前に傾いて、椎間板などにも影響が出る恐れもあります。
ウォーキングの運動効果
足腰の筋力低下を防ぐ
ウォーキングは、重力に抗して体重移動する運動なので、加齢や運動不足などにより、筋力低下しやすい抗重力筋群が強化されます。
運動しないと、太ももの筋肉は落ちやすく、基礎代謝が低下して、太る原因になります。
骨が強化される
ウォーキングは、全身の骨に負荷が加わります。
骨に負荷が加わると、細胞が刺激されて、骨の成長が促進します。
また、外を歩いて日光を浴びることで、カルシウムの吸収を促進するビタミンDがつくられ、中高年の女性に多い骨粗鬆症の予防にも役立ちます。
心肺機能が高まる
ウォーキングは、消費エネルギーはあまり多くないですが、全身の筋肉を使う有酸素運動なので、脂肪をよく燃やし、スタミナのある体をつくります。
歩行速度を上げたり、歩行時間を長くすることで、心肺機能が高まります。
血行がよくなる
ウォーキングで、ふくらはぎなど筋肉の収縮・弛緩が繰り返されると、静脈の流れが促進して全身の血流がよくなります。
また、足裏に約50あるというツボが刺激されます。
血流がよくなると、老廃物が追い出されて、肩こりや腰痛などの改善にもつながります。
すり足歩行は、足首やふくらはぎが動かないのでよくありません。
生活習慣病の予防・改善
糖尿病、高血圧、動脈硬化などの原因の一つは内臓脂肪です。
ウォーキングは、比較的軽い有酸素運動なので、この脂肪を燃やしてくれます。
また、ストレス解消などの効果もあります。
歩数と病気の関係
最新の研究では、歩数によって下記に示す病気になる確率を低くできるそうです。
健康で長生きするには、1日8000歩(その内、速歩き20分)と言われます。
ウォーキングだけでは大変なので、1日の生活で8000歩になることを目標にするとよいです。
歩数 | 速歩き | 効果 |
4000歩 | 5分 | 寝たきり・うつ病の予防 |
5000歩 | 8分 | 心疾患・脳卒中の予防 |
7000歩 | 15分 | 動脈硬化・ガンの予防 |
8000歩 | 20分 | 高血圧・糖尿病の予防 |
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