全身持久力トレーニング・心肺機能を高め、最大酸素摂取量を向上
全身持久力とは心肺機能の能力で、いわゆるスタミナです。
試合の終盤まで能力を発揮する全身持久力を高めるには、心拍数から運動強度を設定したトレーニングによって呼吸循環機能を高め、最大酸素摂取量を向上させることが必要です。
最大心拍数と最大酸素摂取量
全身持久力を高めるには
全身持久力を高めるには、呼吸循環機能を高めて、最大酸素摂取量を向上させることが必要です。
最大酸素摂取量の70%〜80%の強度の運動を10〜20分継続することで、呼吸循環機能が向上します。
このレベルの運動強度を、Annaerobic Threshold(無酸素性作業閾値)といい、ATと表されます。
ATとは
運動を始めてから、徐々に強度を高めていくと、同時に心拍数も上がっていきます。
これは、エネルギーをつくるために酸素を必要とするからです。
しかし、ある運動強度に達すると、酸素の供給が間に合わなくなり、体は無酸素でエネルギーをつくり出します。
このポイントがATで、ここまでが有酸素運動ですが、ATを超えると無酸素運動の領域に入ります。
最大心拍数と最大酸素摂取量
ATを超える無酸素運動を続けていくと、徐々に乳酸が溜まり、運動が継続できなくなります。
このときの心拍数を最大心拍数といい、このときの酸素摂取量を最大酸素摂取量といいます。
最大心拍数は下記のように算出することができます。
最大見込心拍数
最大心拍数は、実際に測ることができないので、最大見込心拍数で代用します。
最大見込心拍数=[220−年齢]という式から算出します。(平均的な値で、個人差があります。)
年齢 | 最大見込心拍数 |
20歳 | 200 |
30歳 | 190 |
40歳 | 180 |
50歳 | 170 |
60歳 | 160 |
70歳 | 150 |
持久力アップする心拍数の設定
目標心拍数
効果的に有酸素運動を行うには、目的に合った心拍数(目標心拍数)を設定することが重要です。
[目標心拍数=最大見込心拍数×強度(%)]
強度 | 目的 |
70〜80% | 全身持久力アップ |
60〜70% | ダイエット・脂肪燃焼 |
50〜60% | 健康維持 |
心拍数の設定例
(例1)30歳で、全身持久力アップが目的の場合、強度は70〜80%なので、
目標心拍数=(220−30)×0.7〜0.8=133〜152
となり、この心拍数で運動することで、効率よく全身持久力アップできます。
(例2)50歳で、健康維持が目的の場合、強度は50〜60%なので、
目標心拍数=(220−50)×0.5〜0.6=85〜102
となり、この心拍数で運動することで、健康維持のトレーニングができます。
心拍数と運動時間
はじめのうちは、AT以下の比較的楽なレベルで、長時間の運動に慣れることが必要です。
トレーニングは、ランニング、自転車、水泳などで行います。
エアロバイクやトレッドミルならコンピュータで運動レベルを設定できます。
運動レベル | トレーニング |
脂肪燃焼 | 30〜60分 |
AT以下 | 20〜60分 |
AT | 10〜20分×数回 |
心拍計(ハートレートモニター)を使う
設定した心拍数で運動するといっても、簡単にはできません。
心拍計を使えば、心拍数をリアルタイムでチェックできます。
また、設定した心拍数よりも下がったり、越えたりしたときに、知らせてくれるようにもできます。
ジョギングをしているのに痩せない理由
体脂肪が減らないのはなぜ?
体脂肪を燃焼させるには、運動での最適な心拍数があります。
ジョギングをしているのに、痩せないというのは、運動強度が大きく、心拍数が高すぎることが考えられます。
息が上がるジョギングよりも、ウォーキング程度の楽な運動の方が痩せることもあります。
痩せる心拍数
体脂肪燃焼に効率のよい心拍数は、年齢によって異なり、下記の心拍数での運動が効果的です。
ウォーキングなら、早歩きするくらいの心拍数です。
これを越えると、無酸素運動の領域になり、筋肉は鍛えられるが、脂肪は燃焼しません。
年齢 | 痩せる心拍数 |
20歳 | 120〜140 |
30歳 | 114〜133 |
40歳 | 108〜126 |
50歳 | 102〜119 |
60歳 | 96〜112 |
70歳 | 90〜105 |
有酸素運動と無酸素運動
ジョギングしているのに、体脂肪が減らないのは、有酸素運動になっていないからです。
脂肪を燃焼するには、酸素が必要です。
息が上がるほどの運動をすれば、脂肪がたくさん燃焼した感じがしますが、実際は無酸素運動になっています。
頑張りすぎない
俳優の石田純一さんは、毎日5km走っているそうで、見た目もスリムです。
しかし、テレビ番組で内臓脂肪の量を測定した際、正常値の上限の1.5倍もありました。
毎日5km走っていて、脂肪が増えてしまうのは、頑張りすぎているのが原因の一つかも知れません。
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